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第8回 一つのことを一生やり続けられると確信する日がくる [スティーブ・ジョブズ]

iPhoneの生みの親 スティーブ・ジョブズ
iPhoneの生みの親 スティーブ・ジョブズ


iPhoneの生みの親は変わり者だった

いまや日本人になじみあるスマホの一角を担った“iPhone”、いわずとしれたアップル社の製品です。その創業者スティーブ・ジョブズ(1955年~2011年)はいまだに“信者”といわれるほどのファンを抱えています。

Mac”や“iPhone”を世に送り出した奇才スティーブ・ジョブズの人生や素顔はヒット商品とはまた別の顔をのぞかせます。驚くのは生まれるときからです。彼の本当の両親が結婚するとき、その結婚が認められず、彼はなんと誕生以前から養子に出すことが決められ、実際に生母と再会するのは30歳になってからでした。

アップル社のミーティングではたびたび癇癪(かんしゃく)を起こすことがあり、怒鳴ったりモノを投げつけることもあたっと伝わっています。また、すぐに社員をクビすることでも有名でした。ちょっと今の日本では考えられない経営者像です。

しかし、そういった彼だったからこそ当時瀕死のアップル社を“iPhone”という救世主の発明により救ったのでしょう。「一つのことを一生やり続けられると確信する日がくる」という言葉は、そんな彼でもクリエイティヴだけには常にこだわり続けた、彼らしいメッセージです。

iPhone”ほどのヒット商品を世に送り出そうと思えば一生のこだわりが必要なのかもしれません。しかし、今の世界においても、たとえ中小企業の新製品としても、このような感覚はとても重要です。それを意図してではなく、彼のように自分の中の癖・慣習として定着させる必要があるのでしょう。

iPhone
iPhone


他のエピソード・名言

彼の他の逸話にも触れてみましょう。

1968年、ジョブズが13歳のとき、あこがれのヒューレット・パッカード社のビル・ヒューレットの自宅に電話をかけ、彼が「周波数カウンタの部品をください」と言うと、ビル・ヒューレットは部品をくれたばかりか、夏休みのアルバイトまで申し出てくれらという逸話が伝わっています。

13歳というと中学生です。中学生でそういった行動に出るところも秀逸ですが、13歳だからといって子ども扱いせず、大人として扱ったビル・ヒューレット氏も秀逸です。今の日本でもこうしたやり取りがもっとできる社会になれば、イノベーターが生まれやすい土壌ができるかもしれません。こういうイレギュラーなことを認めず、枠に当てはめてばかりいるところから革新的発明は生まれにくいのは言うまでもないでしょう。

また、これも彼の若い時のエピソードですが、インドへの旅費を稼ぐために、ATARIというゲームメーカーで働きたいと考え、アポなしで、しかも裸足でいきなり訪問し、「社長が出てくるまで帰らない。採用してくれるまで帰らない」の一点張りで、ついに社長を引っ張り出し、採用までされたのです。

ちょっと引いていしまうエピソードですが、ジョブズジョブズなら、採用した社長も偉大です。

アップル創業後も彼は普通の経営者とは違います。ジョブズジョン・スカリーという人物をスカウトし、CEOに据えます。しかしこの人物との関係性が悪化し、なんと、スティーブ・ジョブズは⾃分が創業したアップルから追放されてしまうのです。若き億万⻑者は、⼀夜にして「全⽶で最も有名な失業者」に落ちぶれました。

その後復帰するのは10年近くあとの1996年でした。しかし、後年ジョブズ「その時は気がつきませんでしたが、アップルをクビになったことは⼈⽣最良の経験であることが後でわかってきました」と振り返っています。

先にかなり引くような逸話を並べましたが、自分が創業した会社をクビになったあとの10年間ほどの期間が彼にとってとても内省によい期間だったのでしょう。彼は日本の禅にも非常に興味があったといわれていますが、まさに禅問答のように、日々自分やこれまでの出来事などを繰り返し考え、人生の肥やしにしたと思います。

それが後のアップル社復帰と“iPhone”の成功につながったのでしょう。

一つのことに徹底的にこだわり抜く慣習と、また、時には禅問答のように静かに内省する時間、現代の経営者にも十分に生かせるメソッドです。社長やリーダーは自分自身にこうしたメソッドをあてはめていく必要があります。

最後にもうひとつ、彼の名言を記しておきたいと思います。

『仏教には「初心」という言葉があるそうです。初心をもっているのは、すばらしいことです』


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